岩石のクリープ挙動

岩石に破壊荷重より小さい一定荷重を与えると、荷重が一定に保たれているのにもかかわらず時間の経過と共にひずみが増加します。ひずみがどんどん増加すればやがて破壊に至ることがあります。

これはクリープと呼ばれる現象で(地質学におけるクリープとは違います)、クリープ制御開始からの軸ひずみの経時変化に注目した研究が多数なされてきました。しかしながら、私たちはクリープ試験における周ひずみの挙動に注目して研究を行っています。これは、伸びひずみに基づいた岩石破壊条件に示したように、周ひずみには岩石の損傷には敏感であるにもかかわらず、環境には鈍感であるという応用上の長所があるためです。

研究の結果、クリープひずみ(クリープ制御開始後のひずみ変化量)は周方向の方が10倍程度大きいことを確認しました。横ひずみは実技的に現場で計測しやすいのですが、変化量が大きければさらに良好な計測が可能なことを意味します。また、周ひずみにも軸ひずみと同様に、1次、2次、3次クリープが認められることを確認しました。

周ひずみ速度の大きさも軸ひずみと同様に、クリープ制御開始後は減少し、その後増加して、供試体の破断に至ることを確認しました。クリープひずみが大きいのでひずみ加速度を評価することもできました。ひずみ加速度の大きさは、ひずみ−経過時間線図上で肉眼にて3次クリープの開始点が認められた少し後に増加を始め、供試体の破断にいたります。

周ひずみ速度の大きさが最小になる点や、周ひずみ加速度の大きさが増加する点における周ひずみは、封圧や含水に鈍感で、限界伸びひずみとほぼ同じ大きさを示しました。これらの点に至る前に再載荷をすると、荷重は増加し、最大荷重点における荷重と周ひずみの値は定ひずみ速度試験と同じ値になります。一方、これらの点の後で再載荷をすると、荷重は増加しません。

以上から、岩石の長期安定性の監視のために、以下の3つの判断基準が使用可能ではないかと考えています。

  • 計測した周ひずみが限界伸びひずみに達すれば破壊が生じる
  • 計測した周ひずみ速度の大きさが増加を始めればいずれ破壊が生じる
  • 計測した周ひずみ加速度の大きさが増加を始めれば破壊が迫っている